警察犬のイメージが強い犬種№1と言えば、やはりシェパードではないかと思います。
警察犬は特殊な場所で活躍する犬なので、日常生活の中で目にする事も詳しく知る機会もなかなかないと思いますが、日本では7種の犬種が警察犬として認められています。
シェパード以外の警察犬には、どのような犬種が認定されているのでしょう?
警察犬の犬として認められているのは7種!
日本で警察犬として認められている犬種は以下の7種です。
エアデールテリア以外は皆逞しい印象を受けますが、各犬種のどのような部分が警察犬向きなのかについても調べてみました。
ジャーマン・シェパード・ドッグ
「ドイツの牧羊犬」を意味する「ジャーマン・シェパード・ドッグ」。
その名の通り、祖先は牧羊犬として活躍していました。
軍用犬として役立つよう改良されたものが、現在のジャーマン・シェパードだと言われています。
警察犬に向いている点
- 主人に忠実
- 賢い
- 運動能力が高い
- 嗅覚が鋭い
- 警戒心が強い
- 勇敢
- 威圧感のある風貌
シェパードは警察犬の代表とも言える犬種です。
見た目も威圧的ですし、運動神経や嗅覚能力が高い部分を鑑みると納得です。
ドーベルマン
ドーベルマンと聞くと護身のための番犬と言うイメージを持つ人も多いのではないでしょうか?
外見は凶暴そうにも見えますが、実際には主人に従順で忠実、賢い犬種だそうです。
警察犬に向いている点
- 主人に忠実
- 賢い
- 威圧感のある風貌
- 運動能力が高い
風貌で被疑者を威圧させて、警察犬に認定されてから急激に人気になった犬種といっても過言ではありません。
運動能力も高く忠実を誓った相手のいうことを必ず聞く賢さもあるため警察犬向きの犬種です。
ラブラドールレトリバー
かつては撃ち落された鳥を泳いで取りに行く鳥猟犬などとしても働いていた犬種であったため、しつけがしやすいと言う特徴もあります。
優しい性格で忍耐強いので盲導犬等にも向いています。
警察犬に向いている点
- 情緒が安定している
- 従順
- 忍耐強い
- 嗅覚が鋭い
- しつけがしやすい
シェパードなどが犯人の足止めをする戒警犬に選ばれやすいのに対し、ラブラドルレトリバーは臭いで犯人を追跡するような「嗅覚」を使った仕事に従事することが多いです。
もともとの性格が穏やかなこともあり、犯人に威圧的な印象を与えにくいためでもあります。
ゴールデンレトリバー
ラブラドールレトリバーと同様、鳥猟犬の仲間です。
作業能力が高く友好的。おっとりとしていて優しく親しみやすい性格でもあります。
警察犬に向いている点
- しつけがしやすい
- 嗅覚が鋭い
- 従順
- 忍耐強い
ラブラドールレトリバー同様、ゴールデンレトリバーも嗅覚を使った仕事に従事することが多いです。
性格も穏やかなため長時間拘束されるような仕事でも大人しく受けてくれます。
コリー
毛足が長く優美な容姿をしているコリーは牧羊犬としての歴史がとても長い犬種です。
親しみやすい性格だと言えるでしょう。
警察犬に向いている点
- 知能が高い
- 物覚えが良い
- 従順
- 運動能力が高い
日本ではあまり目にすることはないかもしれませんが、コリーも警察犬に選ばれる犬種の一つと言えます。
コリー種はボーダーコリーを思い浮かべていただくと分かる通り頭が良く警察犬の訓練をすぐに覚えることができると言われています。
牧羊犬だったことから高い運動能力も有しているので警察犬に選ばれる犬種となっています。
被毛の多さなどから雪山の遭難者を探す跡追求犬の仕事を任せられることもあります。
ボクサー
被毛が滑らかで引き締まった体型をしています。
日本ではあまり見ることはないかもしれませんが、海外では人気の犬種だといえるでしょう。
警察犬に向いている点
- 知能が高い
- 物覚えが良い
- 従順
- 嗅覚が鋭い
- 勇敢
日本ではあまり馴染みがないため、少し怖い印象を抱きがちなボクサー。
知能が高いため物覚えもよく、もともとは「闘犬」として作られた犬であるので競争本能も強いとされています。
しかしシェパードやドーベルマンに比べると力比べでは劣ることが多いようで警察犬として認められてはいるものの数は少ないようです。
エアデールテリア
テリアの中では一番大きく筋肉質、猟が得意な犬種です。
垂れ耳で体高と体長が同サイズ位に見える体型をしています。
警察犬に向いている点
- 勇敢で怖いもの知らず
- 賢い
- 粘り強い
- 嗅覚が鋭い
テリア犬種の粘り強さがあるため、犯人をにおいを追いかけていく「跡追求犬」に選ばれることがおおいです。
テリアは気も強く仕事には責任を持つところがあるため失敗しないように忠実によく考える傾向にあります。
警察犬の仕事とは?
具体的に警察犬とはどのような仕事があるのかご存知でしょうか。
多岐にわたる仕事ですが、大まかに4つに分類されています。
跡追求犬
刑事ドラマなどでも良く見られますが、事件現場に残された遺留品の匂いをかがされた後、犯人を追い居場所を探し出す仕事をします。
また、行方不明者の持ち物の匂いなどから当事者を見つけ出す役割もしています。
戒警犬
警察官と威警犬が一緒にパトロールするだけでも犯罪抑止力になりますが、実際に犯罪者の威嚇等にも利用されます。
また、不審者を見つけたような時には警察官の指示に従い足に噛みつく等の行動を起こし逮捕の手助けをする事もあります。
大きくて強そうに見える犬が担当する事が多いようです。
麻薬探知犬
その名の通り、麻薬を探知する事が出来るように訓練された犬です。
こちらも、テレビで見かける機会が多い警察犬だと思います。
空港の税関などに常駐し巡回する事で、国内に麻薬を持ち込む事が出来ないよう見張る役目をしています。
麻薬の匂いを探知した時には係員にハッキリと分かるような行動を起こすよう訓練されています。
気選別犬
現場に残された証拠品の匂いと逮捕済の容疑者の匂いとが一致するか否かを確認する犬です。
一致した場合には、立派な証拠として裁判でも利用する事が出来るそうです。
嗅覚が鋭い犬種ならではの仕事といえるでしょう。
警察犬のQ&A
警察犬に対してのQ&Aを、いくつかまとめてみました。
①7種の犬種しかなれないの?
日本では7犬種の犬が警察犬として認められていますが、実際にはこちらの犬種でなくても警察犬として活躍している犬は、たくさんいます。
それは嘱託警察犬と呼ばれるものです。
嘱託警察犬とは警察が保有する犬とは異なり、一般人が飼育や管理、訓練をしている犬の事を言い、毎年警察による審査会が行われています。
ここで指定を受けると家庭犬でも嘱託警察犬として任務にあたれるようになります。
日本国内で活躍している警察犬は1,500匹以上、その内90%はこの嘱託警察犬だと言われています。
②警察犬になるのにどれくらいの期間が必要?
訓練所に入所してから警察犬として活躍出来る迄に必要とされる期間は1年半位が平均のようです。
訓練所に入所すると、警察犬としての適正を判断するためのテスト期間(3か月)を過ごした後、6か月間の服従訓練が行われます。
さらにその後も、6か月間の臭気選別機訓練や警戒訓練を受講しなければなりません。
このような厳しい訓練終了後、初級検定と上級検定を受け上級検定に合格する事で現場に出られるようになるそうです。
③オス・メスどちらが有利?
発情期になるとメスの場合は訓練が出来ないため、オスの方が採用されやすいようです。
④いくつまで警察犬でいられるの?
警察犬に定年はないのですが10才位で引退するケースが多いようです。
警察犬に選ばれるのは大型犬なので、小型犬に比べて寿命が短く引退が早いことが多いです。
引退した後は訓練所で余生を過ごします。
警察犬は減少傾向にある!
警察犬になるためには血統の調査から始まり訓練所入所後も適正を判断するためのテスト期間や各種の厳しい訓練を経て上級検定に合格しなければなりません。
言わば、あらゆる意味でエリート中のエリート。それが警察犬です。
このような素晴らしい警察犬を育成するためには訓練を行う指導者が必要不可欠な訳ですが現状では圧倒的に不足していると言う事実があるようです。
さらには、日々の餌代や訓練費用などにも、かなりの金額が必要になると言う問題点もあるとの事。
このように指導者不足や経費的な事が問題となっている現状を受け、最近では一般人が飼育や管理、訓練をしている嘱託警察犬の存在が注目され、その数も増えて来ているそうです。
人間にはない能力と人間には不可能な方法で、日夜警察の捜査に協力してくれている警察犬ですが減少傾向にあると言うのは、とても残念な事だと思います。
愛犬を嘱託警察犬として育て上げ犯罪撲滅に協力したいと考えて下さる飼い主さんが、これからも増えてくれる事を願っています。
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